2010年 年頭所感

新年明けましておめでとうございます。2010年が皆様にとってよい年になりますようにお祈り申し上げます。

「光陰矢のごとし」といわれますが、去年の1年は何かしらバタバタしている間にあっという間に過ぎ去りました。リーマンショックのあおりを受けて業務量は激減しましたが、ここに来て海運も少しは回復しつつあるのかなーと感じる日もあります。金融工学とかデリバティブ商品とか素人にはなじみの無い話で、それの破綻とかで皆が引っ掻き回されるのはごめんですね。いくら自由経済といっても、強欲集団には何らかの規制を加えないと又同じ轍を踏むことになりませんか。

工学に限りませんが科学技術の進歩はすばらしく、JAXAのHTV(宇宙ステーション補給機)やソユーズがISS(国際宇宙ステーション)にドッキングする様子をテレビで見せられると、ピラミッドの頂点にある最高の技術と訓練された超エリート飛行士達又それを支援する多数の地上スタッフがセットになっての成果とはいえ、古代人の我が頭脳はただ魂げるばかりのみ。

宇宙とは次元が異なるが、かたや船舶の操船シミュレータの技術も進歩しています。昨年は大型LNG船の入港時のビジュアル操船シミュレータ訓練に当会の水先人延べ9人が参画しました。ファストタイムシミュレーションで演算された標準操船例と必ずしも合致しませんが、それは平均的な水先人の安全率に対するバイアスを考慮すると当然の結果であり、実際には行き会う他の船舶との見合い関係が生じた場合やタグボートの使用法など臨機応変の応用動作が必要であり、目的は全く同じく安全運航で業務を全うすることであることから、水先人の実際の嚮導の軌跡は容認されてしかるべきものと確信しています。

幸い昨年は水先人乗船中の海難事故はゼロであった。これもひとえに各水先人が安全運航に尽くした努力の賜物であるとはいえ、ヒヤリハットが皆無であったわけではない。ハインリッヒの法則は生きている。今後とも、我々水先人は自分が絶対ではなく、「憶測」、「過信」、「独断」などヒューマンエラーに起因する間違いを冒す可能性があることを自覚して、BRMを積極的に活用する等、これからも「無事是名馬」で事故防止を図って行きたいと念じています。

「いく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまるためしなし。・・・」(方丈記)と「常に同じものはこの世に無い」の本来の解釈とは大きくズレますが、関門海峡は1日4回 潮の流れが変わります、数億トンの海水が東流れ西流れを繰り返しながら全体としてはどちらに流れているのでしょうか。屈曲した狭い地勢、えぐられた凸凹のある海底の地形等によって強潮流・ワイ潮が現れます。
長時間にわたる潮流観察の結果でも大潮、中潮、小潮、長潮、若潮時のハーモニーは微妙に異なり、定点・定時における潮流の予測値の算出はある幅の範囲内でしかとらえられないのが実態です。

言葉では言い尽くせたとしても、やはり、具体的な局面の事象は経験しなければ判りません。次善の策はその中で会得して安全運航に寄与できるものだと水先人は確信しています。

関門海峡の通峡船および関門港への入出港船の安全な水先業務と運航能率増進に向けて、水先人会所属の会員、社員一同、一層精励し、海難事故ゼロを目指し邁進していきます。関係機関をはじめユーザーの皆様方のご指導、ご支援を賜りますよう本年もよろしくお願い申し上げます。

                                 関門水先区水先人会 会長 下野勝郎
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by kshpa | 2010-01-04 09:48  

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